中学時代はU15代表入りも果たし、スーパー中学生として注目を浴びた高崎健康福祉大高崎(群馬)の佐藤龍月投手(2年)が、全国デビューを白星で飾った。「今日は自分的には調子がよくなかったけど、チームの勝利に貢献できてよかったです」と、笑顔を見せた。

どんなピンチにも動じない。これまで数々の大舞台を経験してきた自信がある。「甲子園だからと自分で追い詰められるのはよくないことだと思うので。普通の球場と変わらない、と。心の中で思うようにしました」。2回には2死一塁から「今日はバランスがよくなくて、軸がぶれて抜け球が多かった」と、佐藤の悪送球で2死一、三塁のピンチを招くも、得意のスライダーで空振り三振。3回には2死二塁で迎えた4番打者に対し、136キロの内角直球を二ゴロに打たせて取った。「走者を出すと、自分なりにギアをあげて、抑えにいった。狙い通りです」と胸を張った。「今日は直球のスピードは出ていないけど、伸びやキレはあったと思います」。7回を投げ2安打無失点。毎回の9奪三振。堂々たる全国デビューとなった。

中3時には、50校以上の高校が進学先の候補に挙がるも「兄(志龍=ハーキマー大)と一緒に甲子園に行く、という思いが強かったので」と、2つ上の兄がいた高崎健康福祉大高崎に進学したが、昨夏は準決勝で桐生第一に破れ、その夢を達成することができなかった。

「兄の分も」と強い気持ちで挑んだ秋。昨晩は、兄から電話で「スライダーが武器だ。ピンチには自信のある球でどんどん攻めていけ。楽しんで、全力でやってこいよ」とエールを送られ、甲子園のマウンドで強気に投げきった。

高校野球でも「佐藤龍月」の名前をとどろかせる。「優勝するチームのエースになりたいです」。力強い言葉には、自信がみなぎっていた。【保坂淑子】