青森山田が、執念でセンバツ初勝利をつかみ取った。

京都国際に4-3のサヨナラ勝ち。3-3で迎えた9回1死三塁、伊藤英司内野手(2年)が、初球の真ん中直球をはじき返し、三遊間を突き破るサヨナラ左前適時打で試合を決めた。初回には4番原田純希内野手(3年)からの3連打で2点を先取。野手陣の好捕など、要所要所で持ち味の堅守を発揮。チーム一丸で「センバツ1勝」をつかんだ。

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歴史的1勝だ! チームは過去2度、センバツに出場。初出場の05年は沖縄尚学に3-16、16年は敦賀気比(福井)に0-1でともに初戦敗退。伊藤英は「自分たちで歴史を、新しい記録を作ろうと試合前から話していました」。その新しい記録は、自身のバットがもたらした。

人生初のサヨナラタイムリーだった。「甲子園をテレビで見ていて、サヨナラを打ったらみんなガッツポーズしていて、かっこいいなと思っていた」。サヨナラがかかる場面で打席に立つも、「打席に入ったらそんなには考えてなかった」。だが、打球が三遊間を抜けるのを見ると自然と右拳を突き上げた。「すごいほっとした。うれしかったです」。跳びはねて喜び、チームメートの輪に飛び込んだ。伊藤英は「自分で(歴史で)作ることができたのでよかったです」と勝利をかみしめた。

守備ではファインプレーが光った。2回表2死二、三塁の場面では菊池伊真(いっしん)内野手(2年)が、三塁線のヒット性の打球を横っ跳びで好捕。7回表無死では対馬陸翔外野手(3年)が中堅への特大飛球を、背走しながらダイビングキャッチ。9回表2死一塁では吉川勇大内野手(3年)が打球に食らいついて好捕するなど相手に勝ち越しを許さなかった。兜森崇朗監督(44)は「ミスもありましたけれども、それを上回るくらいのビッグプレーが飛び出した。チームのたくましさを感じています」。守備からリズムを作る青森山田の野球を体現した。ビッグプレーとサヨナラ適時打に加え、細かい堅実なプレーも光ってつかんだ「春1勝」。次戦もたくましく戦い、新たな歴史を紡いでいく。【濱本神威】

○…対馬外野手が、チームのピンチを救った。7回表、先頭打者のあわや中堅頭上を抜けるかという大飛球を背走し、ダイビングキャッチ。打球は差し出した左のグラブに収まり、対馬はベンチの大歓声に手を上げて応えた。抜けていれば相手の追い上げムードが一気に高まっていただけに「自分の持ち味は守備範囲。最高のプレーができたので良かった」と笑顔で振り返った。

◆青森県勢2校が初戦突破 八戸学院光星に続き青森山田も勝利。東北6県を通じ、センバツの同一県勢アベック勝利は初めて。

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