<高校野球・春季北海道大会:駒大苫小牧7-4函館工>◇28日◇1回戦◇札幌円山

 3連覇を目指す駒大苫小牧が、王者らしからぬ試合内容ながら1回戦を突破した。昨年の決勝で快勝している函館工と対戦。4回裏、対馬和樹捕手(2年)の大会第1号2ラン本塁打などで4点を先取したものの、5回表に3四死球と2失策と守りが乱れ、無安打で3点を献上する失態も見せた。それでも底力で7-4とねじ伏せたが、先行きに一抹の不安も残した初戦だった。

 先取点はいかにも駒苫流だった。4回裏、先頭の大累進遊撃手(3年)が安打で出塁。次打者の三塁前バントで二進…と思いきや、大累は一目散に三塁へ向かう。慌てた一塁手が三塁へ悪送球して大累はそのまま生還。「三塁のカバーが遅れているのが二塁を回る前に見えた。もちろん(二塁で)止まる気はありませんでした」(大累)。昨年から続く「走塁の駒苫」でまず先取点を奪った。

 敵失からかさにかかるのも駒苫流だ。この回さらに1点を加え、7番対馬の2ランで完全に流れをつかんだ。大会第1号、そして自身公式戦初の記念アーチ。兄直樹さん(関西大)は06、07年と投手で甲子園に出場。「小さい時から兄はずっと目標だった」。投手と捕手と進む道は違ったが「ショートバウンドを必ず止めれば、投手から信頼を得られるぞ」など捕手としての心得も兄から教わった。先輩の教えや後ろ姿を見て育つのも駒苫流だ。

 ここまでは良かったが、5回表、2番手の岩瀬弘宜(2年)が突然制球を乱し連続四球。守りのリズムも崩れ、二塁手に立て続けに失策が飛び出し1点献上。さらに岩瀬が押し出しの死球を与え、併殺崩れの間に3点目も許した。この回だけ見ると弱小チームと変わらない。岩瀬の制球難は続き、7回にはさらに1点を失った。

 茂木雄介監督(27)は四死球の数を確認すると「10個ですか…アハハ」と苦笑したが、悪かった面には深く触れず、走塁や打撃の合格部分に目を向けた。「投手が守りのリズムを壊しましたが、打つのを含め、走塁もそれなりに良かったと思う」。大累も「初戦はいつも守りが硬くなるけど、2回戦からは大丈夫。次は引き締まった試合になると思います」と前を向いた。30日の準々決勝北海戦では「進化する駒苫」を見せつけたい。【本郷昌幸】