<高校野球長崎大会:清峰8-4佐世保実>◇20日◇準々決勝

 9回2死一、三塁。清峰の荒木雄哉投手(2年)が佐世保実の最後の打者を三振に打ち取った。清峰が3年ぶりの4強入りだ。

 同地区のライバルという以上に注目が集まる一戦だった。佐世保実の清水央彦監督(40)は08年まで清峰で部長、監督を務め、吉田洸二監督(42)とのコンビで4度甲子園に出場。06年のセンバツは準優勝を果たした。清水監督が佐世保実の監督に就任して初めて2人の対戦が実現した。「言葉が出ないですね。一緒に努力して甲子園を目指してきた清水先生がいたからここまで来られたと思う」と吉田監督は複雑な心境を明かした。

 手の内を知り尽くした2人の対戦は2回に動いた。清峰は2回裏、無死一、二塁からバスターエンドランで同点に追いつくとそのまま一気に4得点を挙げ逆転。「清水先生は清峰のときからああいう場面は1球目は高め、2球目は内角と投手に指導していた。そこを狙いました」。6番江川郁希捕手(3年)は2球目でバスターを決め、作戦が当たった清峰は一気にリズムに乗った。「今日は小細工なしでノビノビ戦おうと、選手には言いました」と吉田監督は試合中、常に笑顔を浮かべていた。

 ライバルを倒し4強入りした清峰の勢いはさらに加速。このまま一気に3年ぶりの甲子園までかけ上る。【前田泰子】