<高校野球神奈川大会:横浜4-3立花学園>◇25日◇準々決勝

 横浜の元エースが、2年連続の準決勝進出を決める決勝打を放った。3-3で迎えた8回裏2死二塁で、4番の斎藤健汰内野手(3年)が、1ストライクからの直球を中前に運んだ。「直球を狙ってました。ビデオで見たら、変化球の後は直球が多かったので」としてやったりの表情。だが、その笑顔の裏には投手として苦しんだ日々があった。

 昨夏の神奈川大会は背番号1で、決勝では東海大相模の一二三慎太(現阪神)と投げ合った。3-9で敗退し「借りを返したい」と新チームに臨んだ。だが昨秋の関東大会後にボールが思うように投げられなくなった。「指先の感覚が全くない状態。毎日フォームのことで悩んだ」。センバツでは背番号10で、登板機会はなし。春の県大会から一塁手として再出発し、「最初は正直、無気力だった。でも監督や仲間から声を掛けられ、気持ちが戻ってきた」。6月中旬から調子を上げ、最後の夏で4番に座った。

 打者として復活した元エースの活躍に渡辺元智監督(66)は「大したもんですよ。おかげで打線の形がやっと出来てきた」と満足げ。28日の準決勝に向け、状態は上向いている。