<高校野球茨城大会:藤代6-5霞ケ浦>◇28日◇決勝

 逆転の藤代だ。1点を追う9回2死一、三塁、5番満(みつ)健太外野手(2年)が左翼線へ同点適時打。続く佐藤裕太捕手(3年)が右中間へ適時打を放ち、サヨナラで6年ぶり2度目となる夏の甲子園をつかんだ。就任6年目の菊地一郎監督(41)は「私が2、3手、下手を打ったが、子供に感謝です。力がないと言って来たが、真面目な子の集まり。本当によく声を聞いてくれる」と選手をたたえた。

 準決勝(27日)の常総学院戦を除き、5試合で逆転勝ち。この日も最大3点差をひっくり返した。驚異の粘り腰は、国語教師である菊地監督考案の「見る!考える!決める!やる!」のスローガンにも表れる。佐藤は7回2死満塁の場面ではスライダーに三振。スライダーを狙うも甘い初球を見逃した。考えた。「悔いを残さない」と決めた。次の打席、カウント3ボールからサヨナラ打を放った。

 菊地監督は竜ケ崎一を卒業後、野球から離れた。大型投手だったが「高校で期待に応えられなかったので」。法大2年時、恩師の持丸修一監督(現専大松戸監督)が茨城大会を制して胴上げされる姿を見て、再び野球への情熱がわいた。進路を指導者に定め、赴任3校目で優勝。くしくも夢をかなえた学校は、持丸監督が以前、指導していた藤代だ。【斎藤直樹】

 ◆藤代

 1973年(昭48)創立の県立校。生徒数は723人(うち女子374人)。野球部は74年に創部。部員数59人。甲子園出場は春2度、夏は2度目の出場。主なOBはヤクルト野口祥順、楽天美馬学、井坂亮平ら。所在地は取手市毛有640。折戸喜美男校長。

 ◆Vへの足跡◆2回戦11-4水戸短大付3回戦6-2水海道二4回戦2-1石岡一準々決勝4-1下妻二準決勝2-0常総学院決勝6-5霞ケ浦