<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇1日

 春夏連弾よりも“Vライン”を狙います。第93回全国高校野球選手権(6日開幕、甲子園)の南北海道代表・北海が、甲子園練習を行った。センバツで本塁打を放った4番川越誠司右翼手(3年)も久々の大舞台で軽快な動きを披露。「意識すると結果が出ないので」と、本塁打への意欲を封印して臨む決意だ。

 主砲として、チーム打撃を徹底する。センバツ1回戦の創志学園戦で右翼席へ運んだ。昨夏、道勢で初めて北照・又野が達成した春夏連弾を狙える立場だが、そこに興味はない。「チームとしてVラインを意識して打撃をしているので、それができれば」。右中間や左中間を抜くライナー性の当たりが理想だ。

 ホームから見て打球の描く軌跡が「V」となることから“Vライン”という言葉が生まれ、チームに浸透した。川越も外野手の間を鋭く切り裂くような打球を追い求めてきた。「チャンスでいかに打てるか。それを意識して取り組んできました」。打撃練習中は得点圏に走者がいることを想定し、自身にプレッシャーを与えている。地区予選、南大会の計6試合で本塁打はないが、6打点はチーム2位。1発の魅力より、確実性を上げて後ろの打者につなげることが使命だ。

 この日は、甲子園練習後に兵庫・西宮市内で打撃練習を行った。「淡泊な打撃にならないようにしたい」。偉業は二の次と割り切る4番にVラインへの打球が増えれば、夏17年ぶりの甲子園白星を目指すチームは勝利に近づく。【木下大輔】