<全国高校野球選手権:智弁和歌山11-1花咲徳栄>◇9日◇1回戦

 智弁和歌山(和歌山)が2ケタ得点で大勝した。山本隆大外野手(3年)のバックスクリーンへの3ランなど13安打の猛攻で花咲徳栄(埼玉)に圧勝。八幡商(滋賀)、東大阪大柏原(大阪)に続いて近畿勢3連勝となった。

 一塁ベース手前で右手を突き上げた。本塁打を確信した山本が、会心のガッツポーズだ。3回2死二、三塁。真ん中高めの初球を振り抜いた。バックスクリーンに飛び込む先制3ラン。憧れの聖地で高校通算20号を架けた。

 山本

 最高です。感触が良かったので行ったと思いました。バックスクリーンは生まれて初めてです。

 和歌山大会決勝前日の7月29日夜。父裕二さん(44)から声をかけられた。「調子悪いんやから、練習しよう」。中学時代の練習場で、中3以来となる父とのティー打撃約200球を行い、約1時間半、汗を流した。「野球経験はないみたいなのに野球のことになると厳しいんです」。翌30日の決勝で今夏初本塁打を放ち、この日はバックスクリーン弾。三塁側アルプス席から声援を送った裕二さんは「負けん気がとにかく強い子です」と目を細めた。

 山本の3ランを含む先発全員の13安打で11点を挙げた。甲子園通算最多勝を62に伸ばした高嶋仁監督(65)は「最初の1発が硬さをほぐしてくれた。10本打ったのでよくできたかな」と好スタートを喜んだ。

 山本は今センバツ3試合で12打数7安打、打率5割8分3厘を誇ったが、準々決勝で同じ近畿勢の履正社に11安打しながらチームは3得点に終わって敗退。悔しさを胸に今夏和歌山大会5試合で62安打した強力打線は本物だった。

 山本

 センバツはベスト8だったので、この調子で決勝まで上がっていって、優勝を目指したいです。

 7年連続出場の常連校が、強力打線を武器に春の雪辱を果たす。【岡本亜貴子】