<全国高校野球選手権:東洋大姫路4-0海星>◇11日◇2回戦

 東洋大姫路(兵庫)は海星(長崎)に快勝した。

 「あちゃあ!

 間違えたあ!」。8回の守備に向けて原と岩谷がキャッチボールを始めると、東洋大姫路の藤田明彦監督(54)が叫んだ。勝敗を左右しかねない自らの“失態”に気づき、天を仰いだ。

 1-0の7回裏1死、7回無失点の原が、打席で頭部に死球を受けて治療のためにベンチへ。臨時代走の広田が捕逸で二塁に進むと、藤田監督は代走に家入を送った。「代打で広田が塁に出たら代走に家入がパターン。でも臨時代走というのを忘れていたんです」。臨時代走に交代選手を出したことで、エースは77球で降板を余儀なくされた。

 青くなった藤田監督は「すまん。おれを助けてくれ」と頭を下げた。だが、ナインは動じなかった。原は「最後までマウンドにはいたかった。でも死球を受けた自分が悪いんです」。岩谷に「お前が投げるんや」と伝え、三塁ベースコーチに入った。緊急登板の岩谷は8回2死三塁のピンチで空振り三振。その裏に後藤田の3ランが飛び出した。

 復帰から半年で母校を5年ぶりの夏の甲子園に導いた藤田監督は「後藤田を抱きしめたくなりました!」。ウイニングボールをもらった原は「監督に贈ります」と笑った。【堀まどか】