<全国高校野球選手権:日大三11-8開星>◇14日◇2回戦

 日大三(西東京)は6回に6点を挙げて逆転し、粘る開星(島根)を振り切った。

 劣勢から日大三打線がキバをむいた。逆転を許した直後の6回裏、打者12人ですべて単打の5安打に3四球、失策も絡め一気にひっくり返した。無死満塁から再逆転の右前適時打を放った4番横尾俊建は「崩されたけどそんなこと言ってられない。満足」と前進守備の二塁手の脇を抜いた打球に胸を張った。2点リードした直後には7番鈴木がスクイズ。小倉全由監督(54)は「取れるだけ取るしかなかった」と振り返った。

 開星(島根)の149キロ右腕白根を攻略し13安打11点。これで2戦連続2ケタ安打&得点だ。その強打は小倉監督の指導のたまものだ。入学後、部員のスイングをチェックする。ポイントは1つ。「足を踏み出したとき、トップがしっかり後ろに残っているように」。細かな技術は口にしない。「体が大きくなかったから、逆方向へ打てとばかり言われてね。だんだんスイングが縮こまっちゃって、しまいには打てなくなった」。そんな苦い記憶があるからだ。

 ただスイング量は半端じゃない。控え選手の中平は「入学直後はバットが握れなくなった」という。コースを内外高低9つに分け、各10回を5セット。歩きながらのスイングを塁間3往復やティー打撃、室内打撃など1日1000本は当たり前。朝練、夕食後の自主練習を加えれば1日1500本には到達する。

 次戦は智弁和歌山と8強をかける。00年に智弁和歌山が、01年に日大三が、当時の夏の大会チーム最高打率(4強以上)をつくった。甲子園では初対戦。小倉監督は「何点取られても取り返すつもり」と強打対決を制す構えだ。【清水智彦】