<全国高校野球選手権:東洋大姫路11-1新湊>◇15日◇3回戦

 東洋大姫路(兵庫)はエース原樹理(3年)の1失点完投で新湊(富山)に大勝し、ベスト8一番乗りで夏20勝目を挙げた。

 定位置のマウンドから整列に走った。「夏の東洋」夏20勝目を刻んだ。藤田明彦監督(54)の勘違いで自身の臨時代走に代走を送られ、7回降板の結果になった11日の初戦・海星(長崎)戦から中3日。「最後までマウンドにいられて楽しかった」。1失点完投の8強一番乗りを振り返った。

 この日の最速143キロとの50キロ近い球速差を利用してゴロを打たせて、2点を守っていた。5回、新湊の先頭打者・袴谷の飛球を左翼・妻鹿が捕れず、三塁打に。次打者の二ゴロで1点差に迫られた。藤田監督から「笑え」とさとされたほど、エースは険しい顔になった。

 「点を取ってくれ」と仲間にうめいた。だが、味方の援護も自分次第と気付いた。8回、先頭を139キロ真っすぐで見逃し、次打者を日本ハム武田勝の握りをまねて覚えたチェンジアップで空振り三振に取った。

 原

 次の攻撃に向けて味方打線を勢いに乗せたかった。三振を狙いました。

 その裏は打者13人で8安打9点の猛攻。3、4点目をたたき出す適時二塁打で軸にもなった。9回3奪三振は原にしては少なめでも、値千金の奪三振だった。

 家族にもつらさは明かさない。兵庫大会終盤に右肩甲骨、右脇腹痛を抱えても黙っていた。痛みに耐えかねて母美幸さん(49)に「肩甲骨の辺りをマッサージして」と言って初めて、母も異変に気付いた。まだ回復途上でも結果を出した。

 小学校から高校まで同じ進路の日本ハム乾に憧れ、乾がエースの06年夏の8強に並んだ。藤田監督も「まずもう1つ頑張りたい」。82年以来の夏4強をエースに託す。【堀まどか】