<全国高校野球選手権:作新学院6-3八幡商>◇16日◇3回戦

 作新学院(栃木)は4番飯野徹也内野手(3年)が3安打2打点1得点の活躍で八幡商(滋賀)を下し、春夏連覇した1962年(昭37)以来の8強を決めた。

 作新学院の4番飯野が、体を張ったプレーで引っ張った。1-1で迎えた6回。左前打で出塁。5番内藤が中前打を放つと「センターが膝をついて捕球した。これは行けると思った」。相手の隙を突いて一気に三塁を狙い、三塁手と激突した。上顎を強打し、前歯3本はグラグラになったが、強行出場。小針崇宏監督(28)は「積極的な走塁の結果。(負傷しても)出ますと言ってくれた気持ちがうれしかった」と絶賛した。

 良くも悪くも主砲が目立った。「第1打席で凡退したので絶対打とう」と入った3回の第2打席で先制の左前打。前日15日の夜、大阪市内の宿舎で小針監督から「今日も振るぞ」と呼ばれ、マンツーマン指導を受けてコンパクトな振りを心がけた成果が出た。だが、4回の一塁守備では、捕球の直前に打球がイレギュラーする不運で同点。スクイズを試みた7回1死一、三塁の場面では、打球の勢いを殺しきれずに失敗した。9回2死二塁で中安打を放って6点目をたたき出し、浮き沈みの激しい試合を締めくくった。

 八幡商とは、延長18回引き分け再試合の末に勝利した62年センバツ以来の対戦だった。因縁の対決を制した立役者は、お立ち台で声が出しにくい様子で「滑舌が悪くてすみません。すごい1日」と振り返った。そのまま大阪市内の病院で検査を受け、左上歯茎部分の骨折と診断された。左上の歯を8本、ワイヤで固定し、宿舎に戻った。もちろん、明日18日の準々決勝も出場する。【木下大輔】