<高校野球北北海道大会:富良野11-1北見柏陽>◇14日◇1回戦◇帯広の森

 富良野は初回に打者15人で一挙10点を奪う速攻。北見柏陽を5回コールドで下し、5度目の出場で初勝利を飾った。

 “北の国から-12年伝説”の北大会編は、速攻で幕を開けた。富良野が電光石火の攻撃で初回に10得点。一気に試合を決め、創部64年目で初勝利を挙げた。伊藤彰浩監督(48)は「(31年ぶり出場は)初出場みたいなもので、一つ勝ててよかった」と喜んだ。1イニングで2ケタ得点を挙げたのも、北大会では96年の帯広農以来16年ぶりの快挙。「すごく展開が楽になりました」と選手をたたえた。

 敵情分析も早かった。5日にこれまで対戦経験のない北見柏陽との初戦が決定。その知らせを聞いた背番号11の中陣(なかぜ)一塁手は、すぐに携帯電話を手に取った。「投手の球種やどんなチームとか、いろいろ聞きました」。富良野東中時代に軟式の北海道選抜でチームメートだった紋別のエース松本康暉(2年)に連絡。北見地区で敗れた友人から投手や打線の特徴を事細かに聞き、翌日にはチームに報告した。

 開始早々、対策は実った。2打数1安打1打点の1番中島遊撃手は「外角中心というデータがあったので、外の直球が狙い球だった。昨日(13日)の練習では引っ張りはダメで、センターからライト方向へ打つ練習をした」と明かした。130キロ前後の直球が武器の三栖投手、外角中心に変化球を散らす前橋投手のどちらが先発でも対応できるように準備した成果が、1回の大量点につながった。

 中軸の一角を打つ中陣も3打数1安打2打点と活躍し「チームに貢献できてよかった」と笑顔を見せた。グラウンド内外で見せたファインプレーが、チームの歴史に新たな1ページを書き加える原動力となった。【木下大輔】