<高校野球岩手大会:盛岡大付8-1不来方>◇19日◇準決勝◇岩手県営野球場

 盛岡大付が不来方に11安打を浴びせ、大勝を収めた。これで初戦から5試合連続の2桁安打。8回裏、佐藤廉中堅手が今大会3本目となる本塁打を左翼席に放り込み、コールドが成立した。25日の決勝は、直後の第2試合で160キロ(球場表示)をたたき出した大谷翔平投手(ともに3年)を擁する花巻東と激突する。

 猛打で2年ぶりの決勝に進出した。3回裏、1点を追う盛岡大付は1死一、二塁から4番二橋大地三塁手の左前適時打で同点。直後の捕逸で二、三塁とし、続く八木亮哉一塁手の一塁への内野安打の間に2点を加えて一気に勝ち越した。ここまで全試合で2桁安打を放ってきた打線は、その後も勢いが止まらない。7回までに10安打で7点を奪い、8回1安打1失点と好投した出口心海投手(いずれも3年)を援護した。

 最後は「真打ち」が締めた。8回裏2死。3番佐藤廉が内角のカーブを引っ張ると、打球はあっという間に左翼席に飛び込んだ。ガッツポーズもみせずに淡々と周回し、大声援を浴びながらホームに生還して試合終了。「出来過ぎです。ホームランは狙っていなかったけど、ツーアウトだったんで自分が長打で出て次のバッター(二橋)がかえしてくれればと思っていた」。ヒットの延長が今大会3本目の本塁打につながった。

 “気合の五厘”で頂点にあと1歩と迫った。大会前、3年生全員が頭を丸めた。例年は下級生が行ってきたが、最上級生も寮でバリカンを持ち合って闘魂注入。藤田貴暉主将(3年)は「3年が引っ張ろうとやりました。気合が入って、頭皮が赤くなっている選手もいました」と振り返る。

 決勝進出を決めてから約2時間後、花巻東の大谷が球場表示で160キロの剛速球を投じた。「怪物」との決戦は25日。関口清治監督(36)は「大谷君対策はこれからやります。5日間、みっちり考えたい」と攻略の糸口を探る。いずれにしても、打ち崩さなければ甲子園への道は開けない。5試合48得点。強打の盛付が「高校BIG3」の一角を退治するつもりだ。【湯浅知彦】