<全国高校野球選手権:常総学院14-0杵築>◇9日◇1回戦

 初めての甲子園は広く、ほろ苦かった。初出場の杵築(大分)が常総学院(茨城)と対戦し大敗で初戦敗退。ウエートトレーニングでつけたパワーも生かせず4安打完封で敗れた。大敗の中で3番手で登板した青井雄太投手(3年)が5回1/3を投げて2安打無失点。打席ではチーム初安打を含む2安打を放つなど、投打で孤軍奮闘した。

 憧れの甲子園は苦く、厳しく、それでも楽しかった。0-14と大きく点差を開けられながらも杵築ナインの顔からは最後まで笑みが消えなかった。「元気出して1点を取りに行こうと、本当にまとまれました」と甲斐主将は話した。

 笑顔とは裏腹に甲子園の雰囲気に完全にのまれた。先発永野、2番手塩谷は打ち込まれ失策も絡んで3回2死までに14失点。なんとか相手打線の勢いを止めたのが3番手の青井だった。13点差の3回2死二塁で登板。1人目の打者に二塁打を打たれたが、4回以降は内野安打1本だけで、2安打無失点と抑え込んだ。

 永野、塩谷の好投で青井の登板は大分大会ではわずか2回1/3。「県大会は2人が頑張ったから甲子園に来られた。甲子園で恩返しする気持ちで投げました」。打撃でも5回、チーム初安打を放ち2安打と意地を見せた。「青井がよく投げてくれた。地方大会でも投げてなかったのに、甲子園にかける思いが強かったんだと思います」と阿部知巳監督(46)は青井をほめた。

 次の目標は甲子園での勝利だ。「僕たちができなかった1勝をあげてほしい」と青井は2年生エース塩谷に託した。【前田泰子】