<高校野球千葉大会:木更津総合6-5習志野>◇27日◇決勝◇QVCマリンフィールド

 木更津総合が千葉大会では15年ぶりとなる連覇を達成した。準決勝(26日)で延長13回、194球完投したエース千葉貴央(3年)が、強打の習志野を自責点1(失点5)に抑え、2試合連続完投。2年連続4度目の代表の座に導いた。昨夏の甲子園で大阪桐蔭(大阪)に初戦敗退した雪辱を果たす。

 甲子園で負った傷は甲子園で癒やす。木更津総合が千葉では15年ぶりとなる連覇を果たした。1点リードの9回裏2死三塁、千葉は、最後の打者をスライダーで三ゴロに打ち取り、両腕を突き上げた。駆け寄った秋庭豪太捕手(3年)に抱きしめられ喜びを爆発させた。

 昨夏、肩や肘に痛みを抱えながらも、五島卓道監督(59)に志願して甲子園のマウンドに立った。だが、その後、痛みが増し、今春県大会の登板はわずか2試合に終わった。母昌子さん(47)は「息子が初めて痛いと言った。今でも万全なわけがない」と言う。甲子園でもう1度投げたい-。その一心で苦しいリハビリに耐え、夏に間に合わせた。

 26日の準決勝では、延長13回194球を1人で投げ抜いた。疲労は取れていない。だが、五島監督に「先発します」と志願して連投のマウンドに上がり、124球で完投した。

 千葉を支えたのは、秋庭だ。「故障に苦しんでいる姿をずっと見てきた。勇気づけたかった」。ピンチの度にマウンドに駆け寄り「良い球が来てるぞ」と声を掛けた。秋庭も甲子園で心に傷を負った1人だ。一塁手として先発したが2失策。2打席凡退で代打を送られた。練習で失策するだけで甲子園のプレーが頭をよぎった。開会式前日に、避けてきた甲子園の映像を初めて見ることで自らを奮い立たせた。もう足は引っ張らない-。今大会は全7試合にフル出場し、大声でエースを励ました。

 優勝メダルを胸にした千葉は「昨年は先輩に遠慮していた。今年はエースとして思いっきり腕を振る」と強気。秋庭は「大観衆に圧倒された1年前とは違う。もう浮足立つことはない」と話した。苦しんだ甲子園で、笑ってみせる。【粕谷卓至】

 ◆木更津総合

 1963年(昭38)創立の私立校。生徒数は1854人(女子1044人)。野球部は63年創部。夏の甲子園出場は4度目。部員数は55人。主なOBは与田剛(元プロ野球選手)、古屋英夫(元プロ野球選手)。所在地は木更津市東太田3の4の1。真板益夫校長。◆Vへの足跡◆

 

 

 2回戦11-0船橋啓明3回戦7-0長生4回戦4-0幕張総合5回戦7-2流通経大柏準々決勝9-0京葉準決勝3-2専大松戸決勝6-5習志野