<高校野球静岡大会:飛龍5-2御殿場西>◇12日◇1回戦◇静岡・草薙球場

 完投で夏の大会が開幕だ!

 飛龍-御殿場西の東部私学強豪校同士の対決となった開幕戦は、飛龍の成田雄樹投手(3年)が無四球で公式戦初完投し、勝利した。連打を浴びるも適時打は許さず、失点は暴投と失策によるもの。開会式後の開幕戦という独特の雰囲気の中、前後半で配球を変え快投を見せた。打線は4番佐藤竜馬(3年)が6回に適時打を放ち、重責を果たした。

 飛龍・成田投手が今夏の大会完投1号となった。内容は113球被安打8奪三振6で、5度のフルカウントで4三振を奪った。成田は「公式戦で9回は初めて。完封したかった」と白い歯を見せた。

 バックを思いやる姿勢が功を奏した。「序盤は野手が硬いので打たせるよりも空振りを取ろうと思った」とストレートとスライダーの組み立て。2巡目となる中盤からはカーブを交ぜ込み打たせて取った。球速表示が100キロほどのボールも使い「楽をしようと思った」とニヤリと笑った。

 背番号に恥じない投球だった。昨秋はメンバー外も冬に成長し春はエースに。地区大会の加藤学園戦、県大会の常葉学園菊川戦に先発し、同2回戦の静岡戦では救援と、これまで公式戦経験はわずか3試合だった。それでも春を終えて練習試合では9回を投げ抜き体力もアップ。浜野洋監督(39)も「ずっと9回を投げてきた」と全幅の信頼を置いていた。

 開幕戦の雰囲気にも成田は「緊張はしなかった」とけろっとした表情を見せた。6回に自らの失策と暴投で1点を失い、7回にも失策から失点したが予想の範囲内だった。「(野手が失策を)やると思っていた」と成田。9日には、想定されるミスを全部員で洗い出しパニックを回避するための対策を施してきた。浜野監督も「作戦が大成功」と喜んだ。

 昨年はシード校として登場も初戦の2回戦で聖隷クリストファーに敗れた。浜野監督も「内容より結果です」とホッとしたようだった。成田の完投で飛龍が勢いに乗る。【加納慎也】