<高校野球静岡大会:掛川西3-1島田商>◇27日◇準々決勝◇清水庵原球場

 第4シードの掛川西は延長11回の末、島田商を下した。3回に先制点を許すも、その後は4投手の継投策で追加点を与えず、8回に同点。10回の島田商のサヨナラ機をしのぐと、11回に待望の追加点を挙げた。最後はエース森脇一樹(3年)がゲームを締め、逆転勝利で8年ぶりの4強入りを決めた。明日29日の準決勝では、掛川西と日大三島、静岡と常葉学園橘が対戦する。

 掛川西が4人による継投策で勝利をもぎ取った。今大会初先発の亀山達矢(2年)は2回2安打無失点。危なげない投球だったが、木村幸靖監督(33)は「腕が振れていなかった」と早々に動き、2番手の大村汐風(しぶき=2年)を投入。3回に先制されるも、4回は3者凡退で切り抜けた。

 3番手の斎藤健(2年)は粘投した。5回から登板すると、最速140キロの直球を武器に凡打の山を築く。延長10回には単打と2四球で満塁となったが「自分を信じて思い切り投げた」と、捕飛に打ち取った。この日最大のピンチを切り抜けると、延長11回に2点を追加。最後は4回戦で完封勝利を収めた森脇が満を持してマウンドに上がり、併殺で試合を締めた。

 木村監督は「投手がたくさんいるので、出さずに終わるのはもったいない」と振り返った。春の県大会以降、投手陣には決まった練習メニューを与えず、試合に臨むまでの調整法を選手らに任せた。自主性を重んじた指導で投手陣全体のレベルアップを図ることが狙いだった。森脇は「自分たちで考えてやるようになって変わった。お互いをカバーし合うことで一丸となった」と、チームワークの強さを強調した。

 準決勝では第1シードの日大三島と対戦する。木村監督は「総力戦で挑みたい」。森脇も「1人1人が役割を果たせば、勝つ自信はある」と言い切った。派手さはなくても、勝利を呼び込めるだけの投手陣はそろっている。古豪・掛川西が粘りの野球で春の王者に立ち向かう。【神谷亮磨】