<全国高校野球選手権:星稜4-1鹿屋中央>◇18日◇2回戦

 大隅半島から初めて甲子園に出場した鹿屋中央(鹿児島)の挑戦が終わった。星稜(石川)に敗れた。それでも、初戦無安打だった4番木原智史外野手(3年)が2安打1打点と活躍するなど、初出場のナインは2年連続17度目出場の名門に食らいついた。

 最後まで攻めの姿勢を貫いた。3点を追う9回、2死二、三塁。8番山下が一ゴロに倒れゲームセット。その時、次打者席には代打を用意していた。3人目の投手への代打。ブルペンでは延長に備え県大会の登板もなかった内野手が、4番手として投球練習をしていた。

 「負けましたが攻めて、攻めて、ベストの試合だった」。2安打1打点と気を吐いた4番木原は目を赤くしながらも胸を張った。1回に右前適時打。6回にはフォークボールをはじき返し左中間を破る二塁打を放った。「温かい声援がありがたかった。その中で打ってダイヤモンドを駆け抜けた。一生忘れない」。あこがれの聖地で全力を出し切った。

 木原は初戦(13日)の市和歌山戦では3打数無安打。不調に悩んでいたが、前日17日の練習で吉満豊部長(39)から「楽しめ」と言われ、開き直った。この日2安打を打ったバットは現在製造されていない型の古いもの。メーカーが全国のスポーツ店の在庫を確認し、ようやく準備したお気に入りの1本だった。

 初出場の挑戦は2試合で終わった。それでも大隅半島から初の甲子園という夢を実現。しかも、初戦突破し、地元は大騒ぎだ。山本信也監督(41)は「後輩にこれだけ甲子園はよかったということを伝えたい」と振り返った。

 球場での練習が2時間しか出来ず、宿舎の食事がおいし過ぎたため甲子園入りして太る選手が多く、山本監督は「ごはんの量を減らして対応してます」と苦笑い。“ごはん制限”が解除されたこの日夜のメニューは、しゃぶしゃぶ。思い切り食べ、甲子園での思い出もたっぷり胸にため、大隅半島へ帰る。【石橋隆雄】