あの松坂も、ハンカチ王子だって超えてみせる。第96回全国高校野球選手権大会は今日24日、準決勝2試合が行われる。4試合連続完投中の日本文理(新潟)飯塚悟史投手(3年)は23日、三重戦に向けて兵庫・西宮市内で練習を行い、全試合完投で新潟県勢初優勝を勝ち取ることを誓った。全試合完投Vなら94年の佐賀商・峯謙介投手以来20年ぶりの快挙となる。

 約2時間、キャッチボールや打撃練習で軽めの練習を終えた飯塚は、完投に対する熱い思いを口にした。「自分が全部投げきるつもりで甲子園に来たので、1人で投げたいです。点を取られても、最後までマウンドでチームのために投げるのがエース」と言った。

 ここまで4試合連続完投で、球数は計548球。全試合完投Vは98年の横浜(神奈川)松坂大輔投手(33=メッツ)、06年の早実(西東京)斎藤佑樹投手(26=日本ハム)らも達成していない。「勝つために、しっかりとマウンドにいたいと思います」と、20年ぶりの偉業に挑む。

 目標にする投手は、09年に甲子園準優勝した際の同校エース、伊藤直輝投手(23=現ヤマハ)だ。決勝で敗れたが全5試合完投した。飯塚は、今春のセンバツ後に直接会い「いいピッチングをしても勝たないと意味がない」と諭された。完投することが、勝利への近道と信じる。高校野球も投手分業制が全盛になりつつある近年で、昔ながらの大黒柱。大井道夫監督(72)は、準決勝以降の完投についても「それが私の気持ち」と、後押しする考えだ。

 新潟県勢初V向けて、地元の期待も高まるばかり。応援バスを手配する新潟交通は、準決勝に向けて9台を確保したが、秋田・大曲の花火大会と重なり、バス不足に。担当者は「こんなにバスが足りないのは年間を通してないです」と、うれしい悲鳴。周囲がヒートアップする中、飯塚は「まずは1つ勝つことだけを考えて、明日投げたい」と、一戦必勝を期した。【前田祐輔】