<高校野球宮城大会:築館28-0石巻好文館>◇6日◇1回戦

 築館に「勝利の女神」がいた!

 5回コールドの28-0で石巻好文館に圧勝し、4年ぶりの初戦突破。4月に就任した小針聡美部長(30)の下、春から続くチームの快進撃が止まらない。大河原商は7回コールドの7-0で村田に勝利。小野大樹投手(2年)が6回1安打無失点と好投し、火事で自宅を失ったチームメート三浦智郷(ちさと)外野手(2年)のためにと奮闘した。

 序盤3回までは、すべて打者一巡の猛攻。相手が初出場校だろうと、手を緩めない。19安打15盗塁の怒濤(どとう)の攻撃で、築館がスコアボードに容赦なく得点を刻む。次々とホームを駆け抜けるナインを、ベンチの小針部長は笑顔で迎えた。

 今年4月に小針部長が就任した。宮城教育大では軟式野球部のマネジャーを務めていたこともあり、野球については詳しい。主にスコアラーとしてチームに貢献するが、見えない力をナインに送っている。5月6日の春季県大会北部北地区予選で、センバツ出場経験校の一迫商に2-1で勝利。同じ栗原市内のライバル校から、11年ぶりの公式戦白星を挙げた。そして、この日は04年以来となる夏の初戦突破。利根川直弥監督(36)も「彼女のおかげですよ。何かありますね」と話した。

 「勝利の女神」は1人だけではない。06年に同校初の女子マネジャーとして入部した只野夏之、小野寺由花(ともに3年)は、今夏が最後。只野は「つらい時期もあったけど、続けてきて本当に良かった」と、初めての夏の勝利を喜んだ。4回に今大会1号となるランニング本塁打を放った三浦仁史三塁手(3年)も「勝利の女神パワーですね。このまま甲子園まで行きたい」と話した。

 「ナインの努力が実った結果です。私は何もしてません。たまたまです」と謙虚に話す小針部長。6月14日の岩手・宮城内陸地震では、部員の安否確認に奔走した。今後も、陰ながらナインを支えていく。【由本裕貴】