ダルビッシュ有投手が入団したカブスといえば、先進的で独創性に富むユニークな球団として知られている。その独創性はレッドソックスGMだったテオ・エプスタイン氏が11年10月に移籍し編成本部長に就任したときから高まり、14年11月にジョー・マドン監督に変わってからより鮮明となった。
エプスタイン氏が、チームづくりにおいて重視している1つが「効率性」だ。それはつまり、選手補強や編成に関して、無駄をなくすということ。カブスはヤンキースやドジャースと並んで豊富な資金力を持った球団だが、高額な資金を投じて選手を「衝動買い」するようなことを決してしなくなっているのも、効率性にこだわるゆえだ。衝動買いする代わりに、高機能なツールを駆使して選手を数字化し、徹底的に分析することで無駄をなくし、客観的に評価することで効率性を高めていく。
今季のカブスは、投手陣に若手が育っていないためFAのダルビッシュを獲得したが、野手については実力ある若手がそろっているため、昨季から顔触れはほぼ変わっていない。その中で効率性を高めるためにエプスタイン氏が今、取り組んでいるのは、選手のポテンシャルをいかに最大限に引き出す環境をつくるかということだそうだ。
その秘訣(ひけつ)は何か。エプスタイン氏は今年1月の講演会でこう語っている。
「野球の勝利の方程式は、いかに全員からベストパフォーマンスを引き出すかだ。そのために、人のつながりは重要な要素だ。野球界は今、あらゆる数字を出し詳細なデータを得られるが、それがイコール勝利にはつながらない。勝利をもたらすのは、25人の、それぞれ違うバックグラウンドや思考、目標を持つ人間だ」。
人のつながりというのは数字で分析できるものではないが、効率性を追求する同氏があえてその方向に進み始めたことは興味深い。このキャンプから具体的な改革も始めており、マドン監督の主導で、選手のコミュニケーション力を高めるために人間関係専門家を巻き込み新たなプロジェクトに着手。現代はスマホアプリを使った文字によるコミュニケーションが主流になっているが、同監督は文字コミュニケーションをやめ直接の会話か電話による声の会話を奨励するなどしているという。今季のチームスローガンも「EVERYBODY IN(みんなそろって)」と、人のつながりを意識したものだ。
果たしてそのプロジェクトが今季、どのようにチーム成績に影響を与えるのか。注目していきたいところだ。





