ダイヤモンドバックスの傘下マイナーに所属する吉川峻平投手(25)が、米アリゾナ州スコッツデールで2年目のスタートを切りました。2月上旬に同地入りし、期待の若手選手が集まる「アーリー・キャンプ」に参加。目標のメジャー昇格へ向け、意欲的にトレーニングを続けてきました。そんな吉川が、過去の一件についての思いを、とても冷静に、素直に明かしてくれました。

2018年8月、当時社会人パナソニックに所属していた吉川が、ダイヤモンドバックスとでマイナー契約を結んでいたことが判明しました。その後、契約にいたるまでの経緯が、社会人選手に対して定められているプロ球団との契約に関する規則に抵触していたため、日本野球連盟から永久追放処分を受けることにつながりました。当然のことですが、周囲からは厳しい声が聞こえてきました。

「あの件に関しては全部僕が悪い。ルールを破ってしまったので、受け入れるしかないです。僕に対する非難の声はルールを破ったことに対するもの。それはやってしまったので、僕が100%悪かったと思います。ルールを破ったことに関して、気にしていないことはないですけど、もう終わってしまいましたし、やってしまって、処分も受けたので…」

とても重く響く「永久追放」の処分を受けましたが、野球選手としては、前に進むしかありません。アマ時代から米国で現役生活を全うすることを思い描いてきた吉川にすれば、退路を断つ、という感覚もありません。ただシンプルに、野球に打ち込みたい、米国でプレーしたい、との信念で海を渡ってきました。

「僕はこっちで結果を残すしかないです。応援してもらえるとすればうれしいですけど、やっぱり僕は野球が好きでやっていますから」

だからといって、吉川自身、すべてが順風満帆に進むとも思ってはいません。むしろ、逆風や失敗を肥やしにして、成長することをイメージしています。

「僕の性格、考え方ですが、(試合で)抑えて良かったことを継続するよりも、ダメだったことに対して、次はこうしたくないという方が、僕はモチベーションが上がるタイプだと思っています」

1年目の昨季は1A合流後、3試合連続で痛打されるなど、最初はつまずきました。もっとも、最終的には22試合に登板し、103回1/3を投げて防御率3・75。プレーオフに進出し、リーグ優勝に貢献しました。順当であれば、今年はマイナーで最激戦区と言われる2Aでプレーする見込みです。

「昨年は大きなケガなく1年やれたので、今年もまず第一にケガなくやること。2Aでプレーするとなればすごく大事なクラスになるので、去年のように米国に慣れるというより、結果と内容を求めてやっていきたいです。今年次第で来年以降が決まると思いますから」

周囲の厳しい声も、失敗も、すべては成長していくための糧。新型コロナウイルスの影響で、現時点ではマイナーのシーズンも不透明ですが、2年目を迎える吉川の顔つきは、間違いなく、たくましくなっていました。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)