今季のMLBオールスターのファン投票がスタートし、エンゼルス大谷翔平投手が「DH」部門でノミネートされました。6月4日時点で、DHの15選手中、大谷は15本塁打、40打点でトップ。打率3割2分1厘(1位)、12本塁打、39打点(ともに2位)と好調なJD・マルチネス(レッドソックス)との一騎打ちと予想されています。

さて、そこでほとんど空想にも近い、ちょっとした疑問が湧いてきました。

もし、大谷が「DH」で選出された場合、二刀流は可能なのでしょうか?

今年のオールスターは、DH制のないナ・リーグのロッキーズの本拠地デンバーで開催されますが、MLBでは2010年からオールスターでDH制を採用しており、スタメンに名前を連ねることになります。

ただし、投手としても選出されない限り、他にも優秀な投手陣が顔をそろえるため、先発としてマウンドに上がることはないでしょう。現時点では、ゲリット・コール(ヤンキース)、シェーン・ビーバー(インディアンス)、ランス・リン(ホワイトソックス)あたりが先発投手の有力候補でしょうか。

もっとも、試合途中にDHを解除し、救援投手として登板することは不可能ではありません。たとえば、打者として「2番DH」で出場し、2打席に立つと仮定しましょう。その2打席目を終えると、すぐにブルペンへ向かい、投手としてのウオーミングアップを開始。準備が整い次第、DHを解除し、マウンドに向かうことは可能です。試合展開次第では、ブルペンでの投球練習中に打席が回ってきてしまう可能性もありますが、この際、その想定は除外しておきましょう。オールスターの場合、公式戦よりもバックアップの選手数が多いため、DHを解除しても交代要員に困ることはないはずです。

実際、日本ハム時代の16年10月16日、クライマックスシリーズ(対ソフトバンク)では、9回にDHを解除して5番手として救援。日本記録の最速165キロを計測した経験もあるだけに、あながち空想だけではないかもしれません。

繰り返しますが、これはあくまでも架空のプランで、現実的には故障のリスクも高まりますし、エンゼルスの球団サイドが許可するとは思えません。

ただ、もし大谷自身が望み、エンゼルスのジョー・マドン監督が理解を示し、ア・リーグの指揮を執るケビン・キャッシュ監督(レイズ)が興味をそそられたら……。

何よりも、ファンが熱望するとなれば……。

「真夏の祭典」と呼ばれるオールスターでも、大谷が打って、投げる-。

そんな夢物語を抱かせるほど、メジャー球界でも大谷の存在感は日増しに高まっています。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)