ソフトバンク松本裕樹投手(18)が、昨夏に痛めた右肘の回復を最優先に初のキャンプに臨んでいた。キャッチボールは行わず、技術的なメニューはシャドーピッチングやノックが中心。岩手・盛岡大付からドラフト1位入団した最速150キロ右腕は、将来のエースを目指して1歩ずつ階段を上っていく。

 大勢のファンが詰めかけるソフトバンク宮崎キャンプ。2軍投手陣が練習を行うサブグラウンドの片隅で、松本が1人タオルを握りしめていた。キャッチボールするチームメートを少しうらやましそうに横目で見ながら、シャドーピッチングを繰り返した。

 松本 みんなが投げているのを見ると「早くやりたいな」って気持ちはあるけど、工藤監督からも「焦るな」と言われている。(今は)肘に違和感がないわけではない。治療じゃないけど、できるだけ休ませるのを最優先でやっています。

 昨夏に痛めた右肘の回復は順調だ。1月の合同自主トレでは軽めのキャッチボールを行っていた。キャンプ入り後はノースロー調整が続いていたが、14日の第4クールからネットスローを開始。ボールを握れる喜びをかみしめていた。

 松本 やっとですね(笑い)。今のところネットスローは60球です。甲子園の最後(昨夏の敦賀気比との3回戦)から投球練習らしいことはしていない。キャンプは走り込みやインナーマッスルの強化など、体を鍛えています。

 はやる気持ちを抑えながら、午前9時半から夕方5時前後まで野球漬けの毎日を過ごしている。紅白戦の最中はネット裏で配球やスコアを記録。投げられないからこそできる、将来のための体づくりや勉強に専念する。

 松本 つらいメニューもあるけど、基本的には楽しいです。高校の時もけっこう練習したので、プロの練習時間が長いとは感じません。授業を受けてるよりは全然いいですよ(笑い)。肘の回復具合によってですけど、夏前までには投げられるようになりたいです。

 完全復活までの青写真は描きながら、松本は焦らず前に進んでいた。再びマウンドに上がったとき、遠回りではなかったことを証明する。【鹿野雄太】

 ◆松本裕樹(まつもと・ゆうき)1996年(平8)4月14日、横浜市生まれ。南瀬谷小1年から軟式チーム南瀬谷ライオンズで野球を始める。南瀬谷中では瀬谷ボーイズに所属。盛岡大付では1年春からベンチ入りし、夏の甲子園でもメンバー入り。13年春、14年夏にも甲子園出場。高校通算54本塁打。14年ドラフト1位でソフトバンク入り。183センチ、80キロ。右投げ左打ち。家族は両親、兄、弟。