中日が35年ぶりの開幕3連敗を食らった。2試合連続のサヨナラのあとは大逆転負け…。だがスタメン抜てきの亀沢恭平内野手(26)がプロ初出場でいきなり4安打、代打福田永将内野手(26)がチーム1号2ランと、阪神を上回るチーム安打数(15)で最後まで食らいついた。

 ドームを黄色に染めた虎党が騒いでは黙り、喜んでは静まった。中日は初回から藤浪に襲いかかった。きっかけを作ったのが亀沢だ。昨年までソフトバンクの育成選手だった男が「2番二塁」でプロ初出場。いきなり左前打を放ち、3得点の足場を築いた。

 その後も振ればヒット。デビュー戦で4安打に好守も見せ、ベテラン荒木を上回るインパクトを示した。「本当にたまたま。こういう運をこれからも味方につけたい」と照れた。

 ヤングドラゴンズの活躍は続く。初回の走塁で森野が右手親指を負傷した。代わりに入った高橋周は2安打2四死球と全打席で出塁。「試合に出たら一生懸命やるだけです」と口元を引き締めた。

 極めつきは福田だ。オープン戦で4本塁打、13打点の長距離砲は、7回に代打で左翼越え3ラン。森野の症状によっては高橋周とともにレギュラーを奪おうかという状況を作った。「今日はオープン戦と変わらず、投手に入っていけた」と納得の一撃だった。

 開幕3連敗の重い事実は消せない。しかし点差は1、1、2。悲観に暮れる中身でも決してない。指揮官は「みんな出してくれと訴えていた。彼らはグラウンドで(気持ちを)表現してくれた」と若手を頼もしそうに見つめた。31日から巨人とホーム開幕戦。大阪で払った授業料は地元名古屋で還元する。【柏原誠】

 ▼中日の開幕3連敗は、80年に同6連敗して以来35年ぶり4度目(2リーグ分立後)。この年は谷沢健一が首位打者を取ったものの、投手陣に2桁勝利がゼロとなるなど崩壊。最下位に終わった。