“大谷世代”が14年ぶり全国勝利に貢献した。6年ぶり5度目出場の東海大北海道(札幌学生)がプロ注目右腕・桜井俊貴(4年)擁する立命大(関西学生)を撃破し、8強入りした01年以来の初戦突破を果たした。3得点全て3年生のバットが奪い、高校時代日本ハム大谷の同期で、先発完投した山根大幸(3年=花巻東)を援護した。今日10日、準々決勝進出を懸けて早大(東京6大学)と対戦。東農大北海道も上武大との2回戦に臨む。

 東海大北海道の3年生トリオが勝利へ導いた。8回、0-0の均衡を破ったのは9番竹中悟二塁手。四球と相手失策で訪れた1死一、三塁の好機。「何とか1点と思っていた。外野フライを狙った」という打球は右前適時打となり、先制。さらに2死一、二塁。2番前田健登一塁手の右越え適時二塁打で2点目を挙げ、9回には4番DHの伊藤諄が左翼にソロ本塁打。プロ注目の相手エース桜井からの1発に「打球が上がったのを見て気持ち良かったですね」。3人ともに大舞台での勝負強さが光った。

 マウンドで踏ん張る同期のためにも打ちたかった。8回まで無失点の山根は「とにかく先取点を取ってくれるまで粘ろうと思っていた」と仲間を信じて投げ続けた。伊藤は「山根はよく投げていた。7回まで点を取れなかったのが申し訳なかった」。一緒に入学し、練習を重ねてきた同期。そんな仲間の力投に援護射撃で応えた。

 12年秋の1部昇格後に門をたたいた世代。山根や伊藤らは1年時から公式戦を経験している。先輩たちが昇格して整えてくれた1部での戦いで、全国切符を狙ってきた。全国経験は女満別高3年春に21世紀枠でセンバツに出場した前田以外、ほとんどない。昨秋はリーグ戦2位で、道都大優勝決定時の新聞記事のコピーを寮内に張り、悔しさを胸に冬を乗り越えた。今季やっとつかんだ夢舞台に伊藤は「楽しいですね」と笑みを浮かべた。

 プロの世界で二刀流で活躍する大谷とは同学年。ステージは違うが、それぞれの道の頂点を目指す野球人同士だ。伊藤は「早稲田は強いけど、明日もフルスイングで楽しみたい」と2回戦での活躍も誓っていた。【保坂果那】

 ▼8日に1回戦勝利の東農大北海道(北海道学生)に続き、東海大北海道(札幌学生)も勝ち、北海道勢2代表がそろって初戦を突破した。2代表になった95年以降、そろっての初戦勝利は11年の道都大(ベスト8)、東農大北海道(2回戦敗退)に続き4年ぶり5度目。