本人も驚くプロ1号だ。オリックスのドラフト8位ルーキー小田裕也外野手(25)が3回、中田の直球を中堅左のホームランテラスへ勝ち越しソロ。これが決勝打になった。「会心の当たりだったけど、入るとは思わなかった。ホームランバッターじゃないのであまり実感がない」。福山雅治似の端正なマスクで照れ笑いだ。

 1回は1度もバットを振らずに見逃し三振。「まったく合ってなかったので、しっかりタイミングを合わせた」と修正を図って最高の結果。5日にプロ初出場以来、スタメン全6試合で安打を放っている。初対戦の投手が続く中で「ボールを見過ぎない。とにかく初球を打つこと」と積極打法が好調の要因だ。

 福岡での初戦は3安打でプロ初の猛打賞。2戦目はプロ初打点の決勝アーチだ。熊本生まれが地元九州で輝いた。「不思議と力が出る。やっぱり九州人だなと感じた」。ドラフト7位で1歳下の西野が前半戦に活躍。小田は故障もあり、ファーム暮らしが続いた。「俺も負けてられない」との気持ちを持ち続けていた。

 前日は4点リードを最終回に大逆転負け。一夜明けても、試合前に福良監督代行が「心が折れたわ」と冗談を飛ばすほどの敗戦だった。負のムードを断ち切った小田は「明日も勝ちにつながるよう貢献したい」と誓った。【大池和幸】

 ◆小田裕也(おだ・ゆうや)1989年(平元)11月4日、熊本県生まれ。九州学院-東洋大-日本生命を経て、14年ドラフト8位でオリックスに入団。50メートル5秒9の足を武器に開幕1軍を果たすも3日で降格。今月5日に再昇格し、即「2番右翼」で初出場した。特技のボウリングはベストスコア268の腕前。172センチ、75キロ。右投げ左打ち。推定年俸1000万円。