日本ハム木佐貫洋投手(35)が来季の戦力構想から外れたことが18日、分かった。プロ13年目の今季は開幕ローテーションに入れず、2軍スタート。若返りを図った陣容の中で、ここまで1軍未登板だった。2軍ではイースタン・リーグで主に先発として16試合に登板も0勝6敗、防御率7・67。球団側は急速に進める若返り策の中で、苦渋の決断をした。

 実績十分のベテランが今オフ、日本ハムを退団することになった。木佐貫が来季の戦力構想から外れていることが判明した。チームは前日17日にリーグ制覇の夢が絶たれた。来季の巻き返しへ向けて、現有戦力の見直しを行う中で、木佐貫を構想外とした。律義で実直な性格でチームメートやファンからも愛された右腕が、チームを離れることになった。

 木佐貫は亜大から02年ドラフト自由獲得枠で巨人に入団。ルーキーイヤーの03年は先発ローテーションの一角として10勝7敗の好成績を挙げ、セ・リーグ新人王に輝いた。07年はシーズン自己最多の12勝を挙げ、5年ぶりのリーグ制覇に貢献した。巨人に在籍した7年間で35勝をマークし、09年オフに交換トレードでオリックスに移籍。10年は6月に初の月間MVPを受賞するなど、07年以来の10勝。翌年の11年には初の開幕投手も務めた。

 13年1月に、糸井らを交換要員とした大型トレードで日本ハムに移籍。13年は先発ローテの一角としてチームトップの9勝。チームが最下位に沈み、世代交代の過渡期の中で奮闘した。ユニークで生真面目な性格もファンから愛された。移動時には必ず、自身の直筆サイン入りのベースボールカードを持参。サインを求められても時間の余裕がない時は手渡すなどファンサービスにも熱心。また、球界随一の鉄道好きとしても知られる。

 昨季は開幕直前にインフルエンザを発症して開幕ローテ入りを逃し、5試合で1勝3敗に終わった。再起をかけた今季は2軍戦でも結果が出ず、苦悩の日々が続いていた。1軍での先発チャンスも訪れないままシーズン終盤を迎え、2軍戦では3日のイースタン・リーグDeNA戦(横須賀)で中継ぎ登板して以来、実戦からも遠ざかる。近年のプロ野球界を引っぱってきた「松坂世代」を代表する1人。2桁勝利を過去3度記録し、通算62勝の右腕も来季で36歳を迎える。厳しい現実と向き合いながら、現役引退も視野に、今後の身の振り方を熟慮し、決断することになりそうだ。

<木佐貫の歩み>

 ◆移籍 13年1月、糸井嘉男、八木智哉との交換トレードでオリックスから赤田将吾、大引啓次とともに移籍。

 ◆初勝利 移籍後の初登板初先発となった13年4月4日ロッテ戦(QVCマリン)で7回6安打3失点。新天地デビューを白星で飾った。

 ◆12球団制覇 古巣初登板となった13年5月20日巨人戦(札幌ドーム)で7回1失点。高校時代のライバル杉内に投げ勝ち、史上12人目の現12球団勝利を挙げた。

 ◆出遅れ 14年はインフルエンザ感染などで出遅れ、7月15日西武戦(旭川)でシーズン初登板、9月17日西武戦(西武ドーム)で初勝利を挙げた。

 ◆2軍調整 15年は1軍登板はなく、イースタン・リーグでは16試合0勝6敗、防御率7・67(18日現在)。