西武脇谷亮太内野手(34)が4日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使する意向を明かした。今オフFA宣言した選手は脇谷が初めて。「10年間かけて、やっと取った権利。他球団の評価を聞いてみたい」と決断した。勝負強い打撃に加えて、内外野をこなせる守備も魅力。古巣巨人の補強ポイントにぴたりと合致しており、獲得に向けた調査に乗り出す可能性がある。

 今オフのFA宣言一番乗りは、西武の実力者・脇谷だ。球団との話し合いを終え「10年間かけて、やっと取ったFAの権利。『他球団の評価を聞いてみたい』という思いが一番強くて、行使することに決めました」と力強く語った。

 2年前、巨人にFA移籍した片岡の人的補償として西武に移籍した。今季は118試合に出場。キャリア最高となる打率2割9分4厘をマークした。「2年前、西武に呼んでいただいて。僕自身出場機会も増えて。すごく迷ったんですけど。もう1回、チャレンジしようと」。考え抜いた末、勝負を選んだ。

 脇谷の今季推定年俸は2400万円。補償を必要としないCランクとみられる。力勝負が主体のパ・リーグで打撃にさらなるパンチが加わり、得点圏打率は3割3分3厘をマークした。ポジション不問で、内外野の守備も器用にこなせる。今オフのFA市場において「超」の付く“優良銘柄”であることは疑う余地がない。

 各チームの補強ポイントと照らし合わせて、完全に合致する球団が古巣の巨人だ。高橋由が監督に就任し、井端が内野守備走塁コーチに就任した。2人の穴を同時に埋めるにふさわしい能力を備えている。今季の代打打率が、3割9分5厘まで到達した高橋由。つなぎも決めもできる上に、複数の守備位置を堅実にこなした井端。勝負強い左打者と、高いユーティリティー性を誇る野手の補強は客観的に見て不可欠であり、脇谷の獲得調査に乗り出しても不思議はない。

 9月に骨折した右足首は順調に回復している。近日中にギプスが外れる。「来年は大丈夫。普通に野球ができる。100%治る確信があるので、思いきって決めました。オフなしで、しっかりリハビリに励んでいきたい」。来季への準備を進めながら待つ。

 ◆脇谷亮太(わきや・りょうた)1981年(昭56)11月4日生まれ、大分県出身。柳ケ浦2年夏に甲子園でベンチ入り。日本文理大では4年時に全日本大学選手権で優勝しMVP。NTT西日本を経て05年大学・社会人ドラフト5巡目で巨人入団。10年にセ・リーグ記録の15試合連続得点。12年は右肘故障で育成契約も13年に支配下復帰。176センチ、77キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸2400万円。

 ◆人的補償選手のFA 脇谷は13年オフ、片岡のFAに伴う人的補償で巨人から西武に移籍した。FAの人的補償は脇谷を含めて過去21人いるが、人的補償選手が後年にFA宣言した例はまだない。