左のエース魂を継承する。ヤクルトのドラフト3位、龍谷大平安・高橋奎二投手(18)が20日、京都市内のホテルで契約金5000万円、年俸600万円(金額は推定)で仮契約を結んだ。背番号は「47」に決定。現役時代のソフトバンク工藤監督らがつけた、左投手の代名詞と言えるナンバーが与えられた。若き「左のライアン」に、球団の期待の大きさが表れた。

 「左のライアン」に用意されたのは、歴代の名左腕が背負った“エースナンバー”だった。「47」。前日19日に2度目の正力松太郎賞を受賞したソフトバンク工藤監督や、高橋が憧れる巨人杉内が、長らく背負っていた番号だ。

 予想外の数字に、18歳は少し驚きながら「思っていたより非常に高い評価をいただいて、すごくうれしい。程遠いですけど(工藤監督らを)追いかけて、超えられる投手になっていきたい」と力強く語った。同時に「プロの選手として、もっと野球に専念します」と引き締めた。

 右足を胸の高さまで上げる独特の投球フォームは、今季11勝の小川をほうふつとさせる。同席した鳥原チーフスカウトは「しっかり鍛えて、2~3年後に1軍レギュラーを脅かす存在になってもらう。右と左で違いますが、小川のような主力になりうる」。近い将来の先発ローテ入りに期待している。

 どうしても対戦したい打者がいる。14年巨人ドラ1の岡本だ。1年秋の近畿大会で1度だけ対戦したが、不完全燃焼だった。「(ベンチの)指示が敬遠で。だから今度は真剣勝負したい」。昨年岡本がプロ入りした際、LINEで「来年、僕もいきます」と宣言した。今年のドラフト翌日、岡本は「いい後輩が来たな」と指名を喜んでくれた。今も1日50~60球の投げ込みを続け、体重も夏から5キロ増やした。「自主トレまでに、しっかり体作りしていきます」。真の「47」への道は、もう始まっている。【鎌田良美】

 ◆背番号47 阪神、ロッテなどで史上3位の通算320勝を挙げた小山正明が58年から引退までつけた。当時は40番台の大物選手は少なかった。82年に西武入団の工藤公康が活躍して以来、左腕のイメージが定着。ソフトバンクでは工藤の後に杉内俊哉、帆足和幸が、巨人でも山口鉄也と左腕がつけた。99年中日でMVPの野口茂樹、広島、近鉄で中継ぎとして活躍した清川栄治も左腕。今季は高橋尚成(DeNA)ら9球団で左投手が背負っていた。