リハビリ中の広島鈴木誠也外野手(21)が、25日のウエスタン・リーグ阪神戦(由宇)で実戦復帰する見込みとなった。2月下旬に沖縄春季キャンプの練習試合で右足太ももを痛め「右太もも筋挫傷」と診断された。現在は打撃練習も再開し、順調に回復。2軍でしっかりと結果を残せば、4月上旬の1軍復帰も見えてくる。

 快音を響かせるスイングにも、スパイクを履いた全力疾走にも力強さが戻った。復帰を目指す鈴木のリハビリは最終段階に入っている。23日に外野ノックやシート打撃などで負傷箇所を最終確認し、待ち切れない実戦出場のゴーサインを待つ。

 「自分の中ではもういけると思っています。早く打席に立ちたい」

 今春キャンプで結果と内容でアピールし、右翼の定位置奪取に大きく近づいた。しかし、2月22日の練習試合KIA戦(コザしんきんスタジアム)の走塁時に右太ももを痛め、離脱を余儀なくされた。「右太もも筋挫傷」だった。

 地道なリハビリを続け、今月8日にはトス打撃を再開した。当初は「まだ意識して(筋力を)使おうとしている」と話していたが、今は「意識することなく、自然と感覚で動いてくれる」と胸を張る。患部の回復だけでなく、打撃の好感触も残っている実感がある。

 リハビリ中も、バットをトレーニング室に持ち込んだ。「まだ残っている感覚を忘れないようにしたい」。練習が制限される中で時間を見つけてはバットを握り、グリップの感覚、ヘッドの重さを肌で感じた。離脱から約1カ月たっても、打撃感覚が薄れていないのもうなずける。

 実戦復帰が1軍昇格を約束されたわけではない。「僕はまだレギュラー選手じゃない。2軍でしっかり結果を残さないと上がれないし、結果を残して上がりたい」。謙虚に1軍への思いを口にした。

 ただ、待望論は根強い。14日のファンミーティングでは緒方監督が「投手と野手のキーマンに挙げた選手が開幕に間に合いそうにない残念なところもある」と話した。投手は大瀬良、野手は鈴木を指す。開幕直前でも、右翼のレギュラー争いはまだ決着がついていない。出遅れた大本命復活のカウントダウンは始まった。1軍が開幕する25日、鈴木のシーズンも幕を開ける。【前原淳】