ソフトバンクのロベルト・スアレス投手(25)がサヨナラ劇をお膳立てした。8回から登板。直球は最速155キロを計測し、フォークやスライダーが低めに決まった。日本ハムを圧倒して、試合の流れを相手に譲らなかった。2回を無安打無失点。3三振を奪い、来日初勝利を手にした。

 「100%の投球ができた。一番大事なのはチームの勝利。ゼロに抑えられてよかったよ」

 「速さ」が自慢の右腕だけに、スピード出世だ。昨年にメキシカンリーグでプロ契約を初めて交わした。粗削りの魅力はあるが、実績は皆無。将来性を買っての獲得だったが、フォームは完成形に近かった。秋季キャンプの投球を見た工藤監督は「外国人であれほど下半身を使う投手はそういない」と評価。速球派でありながら、投球の安定感も抜群だ。4月の時点で早くも1軍昇格と初勝利をクリアした。バリオスや五十嵐が不在のリリーフ陣で、早くも勝ちパターンの役割が期待されている。

 「家族はまだ自分が投げている姿を見たことがないんだ。早く日本に呼びたい」。故郷ベネズエラに思いをはせ、白星の味をかみしめた。【田口真一郎】