プレーバック日刊スポーツ! 過去の9月12日付紙面を振り返ります。2000年の1面(東京版)は巨人主力選手らが大雨の影響で新幹線がストップ、車内で缶詰め状態と思わぬ災難に見舞われたことでした。

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 4年ぶり優勝へまっしぐらの巨人が、思わぬ災難に見舞われた。11日、今日12日からの阪神戦のため大阪入りしようとした江藤、高橋尚ら主力選手14人、首脳陣4人を含む一行が乗った新幹線のぞみ59号が、大雨のためストップ。列車は三河安城駅手前で午後6時すぎに止まり、深夜1時をすぎても動くことができず、選手らが車内で缶詰め状態となった。高橋尚は12日に先発予定など、試合への影響が心配される。長嶋監督や清原、松井らは時間がずれたり航空機移動だったため、難を逃れた。

 

 ペナントレースでは無敵の巨人に、思わぬ敵が出現した。大阪への移動日だったこの日、東京駅午後4時発の「のぞみ59号」に乗車したコーチ、選手が、激しい雨のため立ち往生となった。豊橋駅に45分間、臨時停車後に1度は運転を再開したが、再び三河安城駅手前で停車。結局、午後6時14分にストップして、復旧の見通しも立たぬまま日付が替わるというアクシデントとなった。

 巨人では危機管理という理由から、遠征先へは飛行機、新幹線に分かれて移動している。今回、新幹線には今日12日に先発予定の高橋尚成投手(25)も乗車していた。狭い車内に、それも深夜まで長時間、閉じ込められたこともあり、体調管理のため、先発を回避する可能性も出てきた。また、仁志、江藤、二岡、清水、柏田、村田善ら主力も含まれており、今日からの阪神2連戦(甲子園)に及ぼす影響は少なくなさそうだ。グリーン車とはいえ、そのいすも体の大きな選手には決して広くない。背もたれを最大限に倒し、眠って疲労を最小限にとどめるしか対処法はなかった。駅と駅の間のため車外に出て気分転換することもできず、窮屈な空気が漂った。

 飛行機組は、午後5時15分に羽田空港を出発し、激しい揺れはあったものの、同7時には兵庫・芦屋市の宿舎に到着している。新幹線の遅れを知った原ヘッドコーチは「どんな具合なんだ。何時に大阪に到着できるんだ」と、心配を募らせていた。この日は、移動だけで練習も休みで、ミーティングもなし。この日のうちに宿舎入りすればいいというものだった。長嶋監督や清原は、チームとは別に移動を済ませていた。

 新幹線内で販売予定だった飲食物は、深夜0時を待たずに、すべて売り切れになった。日付が替わったころには、列車に取り残された選手たちの疲労はピークに達した。仁志は「腹が減って死にそうだ」と感情をストレートに表した。清水は「何も悪いことをしていないのに。これは何かの罰ゲームでしょうか」とガックリしていた。

※表記は当時のもの