ドラフト候補の左腕、新潟医療福祉大・笠原祥太郎(4年=新津)が作新学院大戦に先発し、5回7安打5失点で負け投手(1勝4敗)になった。試合も5-7で敗れた。この日は最速144キロを出して4奪三振と、持ち前の快速球は回復。4回2死満塁から小曽根裕樹(4年)に走者一掃の左越え二塁打を許すなど、ポイントで痛打を浴びた。きょう10日に勝てば第3戦で巻き返しのチャンスが訪れる。

 笠原が、打たれた。“悪習”を繰り返した。3失点のシーンだ。0-2の4回。先頭の山崎剛(3年)に右前打を許し、2死を奪ってから連続四球。走者をためて小曽根に走者一掃の左越え二塁打を許した。雨天ノーゲームになった前日8日の“幻の満塁弾”も同じく2四球などで塁を埋められてから。「失点のパターンがいつも一緒。学んでない」と佐藤和也監督(60)に前日にきつく言われたエースだが、原因は分かっていた。

 「ドラフトが気になって、気持ちがやられている」と、笠原は正直な心を明かした。「ピンチになると、打たせてはいけない、と弱気になる」という守りの投球も、ドラフトが頭の片隅をかすめるため。4回2死満塁で小曽根に痛打されたのは、その思いが強すぎて逆にカットボールが甘く入った。佐藤監督は「向かっていく気持ちを持ってほしい」とエースが本来の姿に戻るのを熱望した。

 もっとも、持ち味の快速球は復調の兆しだ。2回に栗田泰章(4年)を空振り三振に仕留めた直球は、この日最速の144キロ。前日8日“幻の満塁弾”を浴びた野沢拓己(3年)には2打席連続の見逃し三振で借りを返した。「春季リーグの投球フォームをビデオで見て修正した」。

 あとは、本来の攻撃的な投球を取り戻すだけ。きょう10日に勝てば1勝1敗で、第3戦の登板はすでに言い渡されている。次節の15、16日には首位の上武大との対決も待っている。雪辱と最後のアピールの機会は十分だ。佐藤監督は「上武大に合わせて頑張らせたい」。快投を演じれば「進路だから気になる」と言うドラフト指名にも大きく近づく。【涌井幹雄】

 ◆笠原の幸“雲”VTR 8日の作新学院大1回戦に先発した笠原だったが、1回裏2死満塁から作新学院大・野沢に満塁弾を浴びる、大荒れの立ち上がりとなった。ところが、その直後に、試合前から球場上空を覆っていた雨雲が動きを活発化させ、激しい雨降り状態に。試合は中断され、そのままノーゲームとなった。笠原にすれば、不本意なグランドスラムが「幻の1発」となり、この日のスライド登板に汚名返上をかけていた。