日本ハムの本拠地移転問題で、札幌市、札幌ドーム、日本ハム、コンサドーレ札幌の代表者による第1回「4者協議」が3日、札幌ドームで行われた。秋元克広市長(60)、札幌ドーム長沼修社長(73)、日本ハム島田利正球団代表(61)、コンサドーレ札幌野々村芳和社長(44)が出席。日本ハムから新球場構想の説明はなく、大きな進展は見られなかった。今後も従来通り、札幌ドームを多目的に利用していくことが確認された。

 札幌市の希望で実現した「4者協議」の第1回会合は、進展が見られないまま終了した。約1時間の会談を終えた秋元市長は、札幌ドームの今後のあり方について「専用球場、競技場を目指すのではなく、今後も多目的な施設として利用していくことで、まとまった」と繰り返した。日本ハムの新球場構想に端を発した協議だが、日本ハム側から現時点での具体的説明はなく、話し合いは今後の利用法に終始した。

 そもそも、ファンサービスや運営面の向上を追求したい日本ハムは、専用の“ボールパーク”を求めるからこそ、新球場建設を検討している。日本ハム島田代表は「(札幌ドームの)専用化を考えたことはない。ラグビーやサッカーなど国際的なイベントを呼ぶべきだと思っており、多目的で利用していくという考えでは一致している」と発言。札幌ドームの長沼社長は、日本ハム側について「言ってはいないが(本拠地移転を)視野に入れた話し方だと思った」と、印象を口にした。

 来季J1昇格が決まっているコンサドーレ札幌の野々村社長は「これまで4者が一緒に話をすることはなかったので、その点では有意義だった」とした上で「どの球団も、専用のものが欲しいという夢は抱く。ただ、Jリーグの理念として、地域や行政と一体となって盛り上げていく姿勢。バランスを取りながら、より良い使い方ができたら」と話した。

 日本ハムを引き留めたい札幌市と札幌ドームだが、方策は見えない。秋元市長は日本ハム側に、初めて「残って欲しい」と直接伝え、札幌ドーム長沼社長も「出て行かないでくださいとお願いした」という。第2回会合は未定。今後もドームの在り方について協議を続ける。

 ◆札幌ドーム 世界初のサッカー、野球の併用スタジアム。天然芝、人工芝で異なる2競技を行うため、天然芝は「ホヴァリングサッカーステージ」(縦120メートル、横85メートル、重量8300トン)を屋外から移動させる。観客席は野球で4万1823席、サッカーだと4万2831席、所在地は札幌市豊平区羊ケ丘1番地。