阪神岩貞を見る目は厳しい。この日は6回無失点。それでも金本監督は「彼に求めるものは大きくなっている。ストレートを投げたら、差し込んで欲しい」と注文をつけた。この光景こそ、スケールアップの証拠だ。1点先制直後の6回無死一、二塁。ロペスを内寄りスライダーで左飛に詰まらせ、シリアコにチェンジアップの連投で空を切らせる。倉本に粘られながら速球で見逃し三振に抑えた。

 右打者の足元に食い込む変化球が効果的に決まり、懐を攻める配球が光った。香田投手コーチも「外の変化球も生きてくる。相乗効果がある」と話す。得点圏に走者を置いたのは3イニングあったが、得点を許さない。4回2死満塁もしのぐ粘り腰。あとは速球で押しまくる姿を求めたい。

 香田コーチは「4回は球が高かったけど5回に修正して彼らしい球を投げられた。成長の証しを感じる」と評価した。昨季10勝を挙げ、開幕ローテは安泰かと思いきや、3月上旬、金本監督に「落ちるのは岩貞じゃないかな。アイツ、結構、ビビッているやろな」とあおられた。だが、前回登板の11日、2軍教育リーグ広島戦の5回無失点に続く意地の力投。堂々と、開幕2戦目の4月1日広島戦に向かうことが有力だ。

 今年も「DeNAキラー」になりきる。昨年は5戦で4勝1敗、防御率1・64の好相性。横浜でも好投を重ねる。「投げやすい。一番、投げている。どんどん勝っていけたらいい」。横浜商大時代に親しんだマウンドだ。DeNA2番手の新人進藤は大学の1年後輩。投げっぷりをベンチで笑う余裕もあった。プロ4年目は貫禄も漂う。【酒井俊作】