ついに12連敗。巨人が80年を超える球団史に負の記録を刻んでしまった。球団ワーストタイの11連敗で迎えた「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦(メットライフドーム)も、力なく敗れた。移籍後初勝利を目指した吉川光夫投手(29)が5回途中2失点でKO。打線も好機であと1本が出ずに沈黙し、今季6度目の完封負け。75年に長嶋監督が就任1年目に喫した11連敗の記録を更新した。

 また負けた。試合開始から2時間37分後。石川のバットが西武守護神・増田の外角直球に空を切った。空振り三振で12連敗を突きつけられた。巨人軍が未体験の屈辱を、どう受け止めればいいのか。選手たちは感情を吐き出すこともなく、悔しさをかみ殺すように足早にロッカー室へ引き揚げた。異様な静寂。これが逆に事の重大さを示していた。高橋監督は「それが現実として全員が受け止めないといけない」と直視した。

 今季の苦闘を象徴する負けパターンに陥った。4回、先発の吉川光がメヒアに先制2ランを食らった。先制点を許した試合は14連敗中だけに、いきなり暗雲が垂れ込めた。6回には2番手西村が中村にソロ本塁打を浴びた。これで3点差。今季の逆転勝ち8試合は、すべて2点差以内だった。

 負のデータをはね返せる力が、今の打線には備わっていない。西武先発の岡本とは中継ぎで過去3度対戦し、3回1/3で3得点と攻略してきた。だが、この日は直球とスライダー、カーブのコンビネーションに手を焼いた。好機をつくっても、あと1本が出ない。6回、7回と得点圏に走者を進めたが、逃げ切りを図る西武のリリーフ陣に牛耳られた。高橋監督は「みんな何とかしようと思っているけど、こういう展開になると難しい」と唇をかんだ。