中日が運も味方につけて連敗を3で止めた。ヒーローは2年目木下拓哉捕手(25)だ。バルデスを7回まで好リードし打っては2回に決勝の先制犠飛。4回は一塁ベースに当たる適時二塁打。プロ初の2打点で、初めてお立ち台に呼ばれた。

 「走りながら、ベースに当たれと祈りました。日ごろの行いが良いからだと思います。みなさんも日ごろの行いを良くしましょう」と場内を沸かせた。「ゴミに気付いたら拾うようにしている」という男は、野球の神さまに感謝した。

 森監督は「誰も期待してないよ」と冗談めかしたが、もともとは「打てる捕手」としてトヨタ自動車から15年ドラフト3位で入団。出場9試合に終わった1年目は「経験したことがない球だった」とプロのレベルに戸惑った。同期のDeNA戸柱らの活躍を刺激に、「練習しかない」と地道な練習に励んできた。

 今季はすでに30試合に出場。捕手陣の競争は激しいが、杉山が打撃不振で2軍落ち。チャンスが広がった。前日打ち込まれた反省を生かし、テンポのいいリードとバットで連敗ストップに大きく貢献した。

 西武の先発佐野の負傷降板で始まった試合をしっかりものにした。2回の2点目は2死三塁から打者バルデスの振り逃げ(暴投)によるもの。4回の木下拓のベース直撃打も、相手の連係ミスでもらった好機で飛び出した。森監督は「相手が逆にミスしてくれて、いいところで点が入った。こういうゲームも大事にしていきたい」とうなずいた。最終戦にも勝てば、交流戦勝率5割でフィニッシュできる。【柏原誠】

 ◆木下拓哉(きのした・たくや)1991年(平3)12月18日、高知市生まれ。高知で2年夏、3年夏に甲子園出場。日本ハム公文とバッテリーを組んだ。法大3年秋に東京6大学ベストナイン。トヨタ自動車では14年の日本選手権優勝。15年ドラフト3位で中日入り。昨年8月のDeNA戦で初安打を本塁打で飾った。183センチ、92キロ。右投げ右打ち。推定年俸1000万円。昨オフに結婚。