そういう姿勢もあり、球団からは「功労者というより人として素晴らしい」と評価される。今後について、林球団本部長からは「何も決まってないし、何も話し合っていません。ただ、とても大事な財産。できれば、チームの力になって欲しい」と期待された。25歳以下の若手や長距離打者が育たないチーム事情もある。野球やトレーニングの知識が豊富で、自身がスピードタイプから大砲へのスタイルチェンジにも成功した井口は、格好の監督候補といえる。

 最終的な監督の決定権は重光オーナー代行にあるが、同じ青学大出身の井口ならば、首を縦に振る可能性は高い。現状、伊東監督の来季続投も選択肢にあり、監督交代がいつ発生するのかは未定だが、その時は井口が必ず候補になる。もっとも、引退後のプランを聞かれた井口は「何も考えていません。残り試合を精いっぱい、やり抜こうと思います」と即答。今は、目の前の試合に挑むことしか頭にはない。【古川真弥】

 ◆井口資仁(いぐち・ただひと)1974年(昭49)12月4日、東京都生まれ。国学院久我山2年夏に甲子園出場。青学大では東都大学リーグ最多の24本塁打を放ち、96年アトランタ五輪銀メダル。同年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入団。97年5月3日近鉄戦で新人初のデビュー戦満塁本塁打。01、03年盗塁王。01、03、04年にベストナイン、ゴールデングラブ賞。04年オフにダイエーを退団して渡米。05年、ホワイトソックスの2番・二塁に定着して88年ぶりワールドシリーズVに貢献。08年フィリーズでも、シリーズ出場はなかったが世界一。09年以降はロッテでプレー。09年4月7日に全打順本塁打をマーク。13年7月26日、日米通算2000安打達成。178センチ、91キロ。右投げ右打ち。01年、登録名を忠仁から資仁に変更した。家族は夫人と1女。