首位広島猛追へのスタートダッシュを決める。巨人陽岱鋼外野手(30)が、移籍後初の盗塁を狙う。21日はジャイアンツ球場で全体練習に参加。リーグ戦が再開する23日の中日戦(東京ドーム)に向け、持ち味の走力で貢献する意識を高めた。昨年は5盗塁も、13年は47盗塁で盗塁王を獲得。高橋由伸監督(42)も、足を使った攻撃パターンの増加に期待を寄せた。

 前半戦ラストスパートのために走る。陽岱鋼が、足を使って巨人の上位復帰ムードを加速させる。ここまでの11試合では記録していない盗塁について「盗塁、したいですね。元気に走れるっていうところを見せたいです」と意欲を示した。出遅れの原因となった下半身の張りからは完全回復。「もう全く問題ないので。やれることを何でもやります」と走攻守の全てでフル稼働する心構えを見せた。

 チームは交流戦最後の6戦を5勝1敗と盛り返した。好結果の要因の1つに「足」がある。6戦連続で計11盗塁を記録。長野や重信らが果敢にスタートを切り、ヒットエンドランなどの速攻も効いた。足を使う攻撃について、高橋監督は「できるシチュエーションなら考えるけど、やみくもではいけない。予想しない時にやるのも作戦かもしれない。走れるところでやりたい」と考えを巡らせる。全体像を見ながら、1番を長野と陽で使い分ける作戦も可能となる。「そこはいろいろ。他の選手の兼ね合いもあるし、本人の調子もある。見ながら考えたい。相性では変えたくない」。陽の走力が加わることで、攻撃の選択肢が増していく。

 リーグ戦再開初戦の3連戦でキーマンになる可能性が高い。陽は過去4年、中日との対戦で43打数18安打の打率4割1分9厘、3本塁打9打点と圧倒してきた。「自分では、特に得意という意識はなかったです。どんな時も、試合までに相手投手のデータを勉強している。今回もしっかり勉強していきます」と準備を強調。今後は初対戦の機会増加が見込まれるが「これからは当たったことがないピッチャーともやる。すごく楽しみです」と前向きに捉えた。陽のバットと守備、そして足が首位広島との11・5ゲーム差を詰める起爆剤となる。【松本岳志】