チームの苦境を救う。ヤクルト小川泰弘投手(27)が8回から4番手で登板し、1回を3人でピシャリと抑えた。プロ初の中継ぎ起用に応えた。5月27日に左内腹斜筋の肉離れで登録抹消後、リリーフへ配置転換。自主トレをともに行うカブス上原から助言をもらい、登板に備えた。この日、抑えを務めていた秋吉亮投手(28)が9回に緊急降板し、登録抹消される見込み。今日1日からは小川が守護神を任される。

 いつもと違う光景だった。午後8時43分、リリーフカーで小川が向かったのは少し掘れたマウンド。1点リードの8回、プロ初の中継ぎ登板の出番がやってきた。「時間制限で3球しか投げられなかった」と3球投げた後に、捕手の二塁送球のためクイックで1球。まだ不慣れな準備となったが、プレーがかかると気持ちにスイッチが入った。

 全12球に全力を込めた。「1イニングしかないんで、全部勝負球という気持ちで投げる」。先頭打者の糸原を127キロのチェンジアップで遊ゴロ、続く大山を148キロの直球で詰まらせて遊飛。最後は梅野を128キロのチェンジアップで空振り三振に斬った。直球、カットボール、スライダー、チェンジアップを使い、注文通りの3者凡退。「3人で終わったことが一番良かった」と振り返った。

 上原流で備えた。リリーフ起用を伝えられた約1週間前、自主トレをともに行うカブス上原にメールで連絡。中継ぎの心得を聞いた。「早く自分にあった調整を見つけること。過ごし方だったり、気持ちの作り方だったりを見つける」。6月24日、2軍での復帰初戦はブルペンで背番号と同じ29球を投げて肩を作った。この日は7回終了時からブルペン入り。手探り状態だが、惑わずに結果を出した。

 9回には抑えの秋吉が緊急降板し、登録抹消される予定となった。守護神昇格が確実となり「チームのために任されたイニングを全力で抑えたい。明日も変わらずに自分の投球をしたい」。苦境を救うと意気込んだ。最下位からのCS進出へ。最後のとりでとなる。【島根純】