小柄な男がまた大きな仕事をやってのけた。ソフトバンク嘉弥真が最大のピンチをしのぎチームを勝利に導いた。1点ビハインドの5回。先発武田が招いた2死満塁のピンチ。マウンドに上がったサウスポーはT-岡田を5球で料理した。「1発警戒ですし、緊張はなかった。ちょっとボール気味になったけど振ってくれた」。カウント1-2と追い込んで126キロのスライダーで空振り三振に切った。味方打線が直後に逆転。嘉弥真に今季初の白星が転がり込んだ。

 手にした白星より、満塁の窮地を抑え切ったことに充実感があった。13年9月16日の日本ハム戦(ヤフオクドーム)以来、4年ぶりの勝利。でも、嘉弥真は言った。「あんまり(勝利は)感覚がないですね。それより満塁を抑えられてよかった」。ファーム降格を経て再び戻った1軍マウンド。再昇格後、これで満塁機の登板は5度目だが、今後し烈になる戦線にも臆することはない。

 「投げていて楽しい。(満塁の場面での登板は)来れば来るほどいいと思う」。

 昨オフ、FAで森福が抜けた。空白のポジションに狙いを定めサイドスローに。この日は転向後の初勝利でもあった。「あとは必死に投げるだけです」。小柄なサウスポーの存在が日増しに大きくなってきた。【佐竹英治】