DeNA2番セカンドの田中浩康内野手(35)が先制V打を含む3打点で、通算1000安打を達成した。6回2死満塁。プロ13年目の田中浩が確実にとらえた打球は、センター方向へ抜けていった。通算1000安打は中日を突き放す2点タイムリー。3回の先制V打を含め、勝利の立役者として立ったお立ち台では「9割がた個人的な話ですが、チャンスをもらった球団、監督、GMにすごく感謝したい」と語った。

 昨季ヤクルトを戦力外になり、諦めかけていた現役生活を、つなぎ留めてくれたDeNAへの恩義は強かった。「毎試合同じ気持ちですけど、チャンスをもらったときに全力でやること。今まで以上と言ったら変だけど、そういう気持ち」。ラミレス監督が3番筒香、7番梶谷と、組み替えた新打線で2番セカンドだけが、対右投手用の左打者・石川との併用。2人で筒香につなぐ位置を担う。

 DeNA入りが正式決定する直前の昨秋。ヤクルトで同僚でもあったラミレス監督から直接言われたことがある。「チーム事情を考えると、レギュラーというよりも、全試合出られない使い方になる」。打ち明けられた通りの起用法になったが、重要な役割を任された。今季は16打点、15三振と三振よりも打点の方が多い。勝負強さを象徴する数字もあり、同監督も「プロ意識が高い素晴らしい選手」と最敬礼した。

 殊勲の田中浩は「(1000安打は)チームのいい雰囲気の中で達成できた。1勝でも多く貢献したい」。35歳の決意と覚悟が、チームに必要とされている。【栗田成芳】