全パ先発のソフトバンク千賀が、セ界の強打者に真っ向勝負で挑んだ。28球のうち23球を最速151キロの直球で押し、2回無安打無失点だった。

 坂本勇、筒香から「初球を打つから直球を」と要求されたことを伝え聞き「絶対投げない。いろいろ使って抑えたい」と首を横に振っていた。だが、いざマウンドに立つと、勝負を受けて立った。坂本勇には2球とも直球勝負で遊飛、筒香には3球直球を続け、4球目にフォークを投げて左飛。「ゼロで抑えられたのは良かったけど、内容はぐちゃぐちゃ」と苦笑い。お化けフォークは落ちが悪く、ゲレーロを三振に取ったフォークも抜けてしまったものだった。

 三塁側スタンドには地元の愛知・蒲郡市から両親と妹も駆け付けた。父直伸さんは「WBCは見ていて疲れたけど、球宴は楽しいですね」。息子の勇姿を見つめた。

 無名の蒲郡高から10年育成ドラフト4位で入団。育成選手出身のオールスター戦先発は史上初だった。「僕がやることで励みになれば」。雑草がまた、たくましさを増した。