超満員の甲子園が騒然となった。阪神糸井嘉男外野手(35)に異変が発生した。5回1死二塁と追加点が期待される場面。2ボール1ストライクからの4球目だった。広島野村の129キロチェンジアップを豪快に空振り、その瞬間だった。

 打席を外した糸井は顔をしかめて右脇腹を押さえた。すぐさまベンチからトレーナーが駆けつけ、片岡打撃コーチや次打者席の福留も歩み寄る。そして糸井はベンチへ。金本監督は代打高山を告げた。

 数分後、ベンチ裏から出てきた糸井はバットを持ち、無表情のままクラブハウスへと消えた。試合直後の金本監督は「まだ聞いてないけど心配ですね」と神妙な表情。大事を取っての交代か? と質問されると「その意味もあるし、痛そうだった。右脇腹を押さえていた」と説明した。

 糸井はこの日のうちに尼崎市内の病院に向かった。程度は判明していないが、打撃に影響が大きい箇所だけに無理をするわけにはいかない。出場選手登録の抹消の可能性が高くなった。抹消となった場合は、新外国人ジェイソン・ロジャース内野手(29)も緊急昇格候補の1人とみられる。

 前半戦は6月9日ソフトバンク戦で左太もも裏に筋挫傷を起こすなど、打率2割6分8厘と本来の実力を発揮しきれなかった。後半戦に向けて「頑張ります。僕自身も巻き返したい気持ち」と、意気込んでいたが、思わぬアクシデントに見舞われてしまった。【桝井聡】