阪神は自力優勝の可能性が消滅する寸前で、虎のパンダが強烈な一撃を見舞った。1点を追う9回1死満塁で、4番ロジャースが左前に逆転2点打を放った。「もう1打席回れば、いい仕事ができる自信があった。貢献できて、うれしいよ」と、途中加入の助っ人が大仕事をやってのけた。

 この日、ヒーローになれたのは、日本向きともいえる選球眼にあった。外角のボール球には安易に手を出さない。金本監督もその姿勢をたたえた。「同じ球を2球続けて、ボール球に手を出さない。1球見て、学習できる。そこはうちのバッターも見習ってほしい」。最終回の打席も外角スライダーを悠然と見逃した。最終打席の成績は、10打数8安打で打率8割。さらに四球も3つ選んでおり、アウトになったのは2度だけだ。驚異的な打率を残すのも、うなずける。

 「打撃練習の時に、彼(小野)がまだ勝っていないことを知った。早く1勝してほしいと思った」。フォア・ザ・チームの精神で、心は猛虎の一員だ。契約期間はシーズン終了までだが、「結果次第では、契約延長の可能性は十分にある」と球団関係者は言う。

 4番が存在感を発揮し、開幕戦以来となる広島戦敵地勝利は、同球場での今季初の逆転勝ちでもある。金本監督も「よくやってくれた。しぶとく最後まで粘って」。今日3日も自力V消滅の危機は続くが、しぶとく勝利への道を探っていく。【田口真一郎】