阪神ロジャースが連日存在感を発揮した。1回2死二塁。九里のスライダーにバットを合わせた。打球は中前へ転がり二塁から福留が激走。間一髪のタイミングで本塁に滑り込み、左手でベースをたたく。4番のバットから先制点が生まれた。

 「強振しないように、どんな球種が来てもコンタクトできるように意識していたんだ。なにより、フクドメサンのベースランニングが素晴らしかったね!」

 前日も9回に逆転2点打を放つなど、この試合まで最終打席で打率8割と「最終打席の鬼」だった。一方で1打席目は1割8分2厘。スロースターターのイメージを吹き飛ばした。この回、2死走者なしから福留の二塁打、ロジャースの先制打の後も中谷、鳥谷、大和もヒットで続いて5連打。パンダ砲の適時打から一挙4点が入った。先頭の3回にも中前打を放ち、自身4度目のマルチ安打だ。

 13年オフからドミニカ共和国のウインター・リーグに参加。16~17年シーズンは人気球団の「リセイ」に所属し、中日でも活躍したエルナンデスらとプレーした。母国語の英語だけではなく、つたないスペイン語でも積極的にコミュニケーションを図った。郷にいれば郷に従え-。日本球界で成功する外国人の鉄則を、身につけている。

 全力プレーがモットーだ。ヒットで出塁した3回には一塁から、中谷の左前打で三塁を狙った。アウトになったが、チームを元気づける積極走塁が印象的だ。自力Vは消えた。だが誰からも愛されるがパンダが、奇跡への案内人になる。【桝井聡】