中日山井大介投手(39)が華々しいワンマンショーで復活を遂げた。今季初登板で7回途中3安打1失点。球団最高齢での初本塁打を放って自身を援護する文字通りの一発回答で、来季契約も大きく引き寄せた。

 「今、自分に対して悔しい思いが湧いている」。快投したのにそう言った。長い2軍生活で置かれた立場の変化を痛感した。ベテラン特権を奪われていた。2軍戦で結果を出さないと1軍に呼ばれない。「来年より今のことを考えてやってきた。結果的にこういう形でよかった」と話した。

 初回先頭の桑原を140キロの直球で空振り三振。手応えをつかんだ。3回までパーフェクト。ボール先行でも、変化球でカウントを戻せるマウンドさばきは山井の真骨頂だった。

 何より驚かせたのは5回の本塁打。今永の直球を左翼席に打ち返した。打撃はいい方だが、16年目の初体験だった。1-0からの貴重な追加点に、走りながらガッツポーズ。「気持ちよかったです。向こうは10勝投手。負けじとやったろうという気持ちになった」。若き左腕と投げ合い、闘争心も取り戻していた。

 最多勝の14年オフにFA権を行使せず残留。そのとき結んだ3年契約の最終年。直近2年は5勝20敗と信用を失った。今季も調子が上がらず、戦力外になってもおかしくない状況にいた。「来年」について聞かれた森監督は「こういう投球したらしょうがないでしょ。我々が決めることじゃないけど。すぐ(結果を)出してくれたのはうれしい」と森節全開で笑顔。崖っぷちで踏ん張ったベテランを称賛した。【柏原誠】