育成の広島の底力だ! 優勝を決める決勝打を放ったのは、ドミニカ共和国のカープアカデミー出身で今年支配下登録されたばかりのバティスタだった。

 8回1死一、二塁。代わったばかりの阪神桑原の浮いた外角球を逃さなかった。石井打撃コーチからの「外角球が多い」という助言を頭に「コンパクトスイングを心掛けた」。三遊間を破る決勝打は、日本で学んだ打撃の結晶でもあった。「気持ちいい。優勝した試合で決勝打を打てて、すごく良かった」。昨年の優勝を2軍寮で見ていたドミニカンは大きな胸を張った。

 一昨年秋の来日時に目立ったアッパースイングは、広島伝統の猛練習で改善された。まだ育成だった春季キャンプでは、レギュラーを見極める段階に入っても実戦で起用され続けた。緒方監督は「今だけを見ているわけじゃない。彼らは日本人選手と一緒。育てる意味合いがある」と明確なビジョンを描いていた。初打席初本塁打。さらに4戦4発というド派手デビュー後はチームメートから「スーパースター」といじられる。広島で学び、広島で才能を開花させた大砲が、連覇に貢献した。